新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って影響を受ける事業主が増えている中で、4月1日~6月30日については緊急対応期間として雇用調整助成金の特例措置が実施されています。そもそもどういった助成金なのかという趣旨や概要を簡単にまとめました。 |
雇用調整助成金とは事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を解雇するのではなく、休業させたり、教育訓練を受けさせたりなどして、雇用関係を維持するために取り組みを行った場合に、その取り組みに要した費用(具体的には休業手当など)に対して助成されるものです。
ここでポイントなのが“雇用の維持を図るための休業手当等を支払うのにかかった費用に対して助成率が適用される”ということです。労働者個人に支払われている給与額の9割が助成されるわけではないのでご注意ください。
労働基準法では労働者を会社の都合で休業させる場合には、平均賃金の6割以上を支払わなければならないという最低基準が設けられています。これは労働者が最低限の生活を行えるように保障をすることが狙いとされています。なお、休業手当の割合は6割から10割のあいだで「休業協定書(労使協定)」で決定することになります。
雇用調整助成金の主な要件は以下となります。
①売上が前年同月と比較して、5%以上減少していること
②雇用保険の適用事業所であること
③休業した日について休業手当を支払っていること
なお、本来の申請の流れは「休業計画届の提出・労使協定→休業実施→支給申請」です。
しかし今回の特例措置により休業計画届は事後提出でも可となっています。ただし、計画届は事後提出するとしても、労使協定は休業を決めた際に締結するのが望ましいでしょう。
また、休業手当と通常労働日に支給される給与とは明確に区分する必要があります。給与明細
や賃金台帳には休業手当の項目を作り、区分するのを忘れずに行いましょう。
※上記記事の内容は5月7日現在のものです。内容が変更されることもありますので予めご了承ください。