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注目される給与のデジタル払い解禁

 

 近年、生活のさまざまな場面でキャッシュレス決済が普及し、現金をあまり利用しないという人も増えているかと思います。このような動きに合わせて、従業員への給与の支払いも〇〇ペイといった資金移動業者の口座に支払うことが、 2023年4月1日にできるようになりました。

 

給与支払いの原則と口座振込

  会社が従業員に支払う給与は、「 通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と労働基準法で規定されています。その例外として、従業員から個別に同意を得て、従業員が指定する本人名義の預貯金口座や証券総合口座に振り込むことが認められています。

 今回、給与のデジタル払いが可能になることで、給与の支払い方(従業員にとっての給与の受け取り方)の選択肢が増えることになります。

 

 

デジタル払いができる業者

  給与のデジタル払いとは、給与を現金で支払ったり、銀行口座に振り込んだりする方法ではなく、資金移動業者の口座へ資金(給与)を移動することをいいます。この資金移動業者とは、銀行等以外が為替取引を業として行うものであり、金融庁への登録が必要です。「 〇〇ペイ」というような名称でサービスを展開しているところが多く、 2022年12月2日時点で、 84の事業者が登録を行っています。

 給与のデジタル払いは、厚生労働省の指定を受けた資金移動業者を従業員が口座として指定します。会社は従業員が指定した資金移動業者が指定を受けているか確認する必要があります。資金移動業者が厚生労働省の指定を受けるためには、次のようないくつかの要件があります。

・ 破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、労働者に口座残高の全 額を速やかに弁済することができることを保証する仕組みを有していること。
・ ATMを利用すること等により 、 通貨で1円単位で賃金の受取ができ 、かつ、少なくとも毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金の受取ができる措置を講じていること。

 

 

デジタル払いですべきこと

  給与をデジタル払いするためには、従業員の過半数代表者等と、「 口座振込み等の対象となる従業員の範囲」等、一定の事項について労使協定を締結します。

 その後、給与をデジタル払いにする従業員に対し、給与のデジタル払いに関する留意事項を説明した上で、個別に従業員の同意を得る必要があります。なお、留意事項および同意書の様式例は厚生労働省から公開されています。

 会社として給与のデジタル払いを行うかは、従業員が希望しているかということの他、会社が資金移動業者へ支払う手数料がどの程度か、また、手続きの手間がどの程度になるかによって判断することになるでしょう。

※厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」

厚生労働省:リンク