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所長のコラム -Vol.31-

デジタル化元年?

 

 政府はデジタル化を進めようと躍起になっていますね。コロナ対応で敗北したからと言われています。コロナで苦しんでいる人に救いの手を差し伸べたいと思っても、だれが苦しんでいるのか分からない。結局、貧しい住民税の非課税世帯の人たちか、いやそうとも言えないだろう、いっそ国民全員に一人10万円を配って急場をしのごう・・・ところが国民一人一人に10万円を配る手段がない、そこで一人一人に振込先を聞くという羽目になったのですね。

 

 マイナンバーカードでこれらが解決するとも思えませんが、一人一人の所得を把握したい(数年前から所得税の申告に当たってはマイナンバーを記入するようになっています)、一人一人の銀行口座と紐づけたい等々、一人一人の情報をこのカードに集約することを目指しています。健康保険証と紐づければ誰もが使わざるを得なくなりますね(今の健康保険証は廃止します)。少々の反対や不都合には目をつぶって、何が何でもこれを普及させたい、これが政府の本音でしょう。

 

 何故か。人口が減少する社会で生産性を上げる手段(例えば運転手不足を解消するライドシェア)、また国民の多様化するニーズに応える社会づくりの手段としてデジタル化は急務である、との思いが政府にあるからです。身近な話では電子帳簿保存法があります。電子で送られてきたものは電子で保存しろ、しかも改ざんが出来ないようにし、いつでも引き出せるようにしておけ、この法律ができてから何年たったと思っているんだ、やれないやつは青色申告の取消だ、これが政府の本音でしょう。行政手続きのデジタル化や業務の在り方の抜本的な見直し、また社会全体のデジタル化に加えて、事業者のデジタル化促進を政府は謳っています。

 

 もっともデジタル化は社会のあらゆるところに浸透しています。もはや会計ソフトを使わない会計処理は考えられません。ではなぜ『デジタル化元年』なのかと言えば、政府が遅ればせながら本気モードになったということ、それとChatGPTの登場でしょうか。AI(人口頭脳)とは人間の脳が行う作業をコンピュータが模倣するシステムのことです。そのAIが学習し、人間のように文章の理解や翻訳、画像の識別、音声認識、予測することまでできるようになりました。どのくらい学習したのかといえば、570ギガバイト以上の文章を学習しました。これは人間が一生かかっても読み終えることができないものです。こうして医師免許試験に合格し、司法試験に合格するレベルに達しています。やがて車の自動運転も可能になるでしょう。このChatGPTにあなただけが知っている情報、会社の情報や業界の情報を記憶させ、あなたと対話しながら仕事を進めれば業務の効率化を図ることができるでしょう。政府は『国会答弁に生成AIを活用する』と発表しています。

 

 さて、私はアナログ人間でいやなのですが、社会はデジタル化に向けて急速に進んでゆくことでしょう。だから『デジタル化元年』なのです。