所長のコラム -Vol.25-

ぼやき

 

 最近とくに体力も気力も衰えを感じます。子供のようにはしゃいでも疲れを知らないとか、何かの拍子に俊敏に動くとかできなくなりました。何よりも疲れやすく、忍耐力もありません。気力も午前中はまだ良いのですが、午後になるとぼーっとして、考えたり、調べものをしたり、本を読んだりするのがおっくうになりました。これは歳のせいでしょうか、それとも自分の怠け癖のせいかも知れませんが・・・。

 

 歳を取るということは、確実に余命が短くなることを意味します。先を読んで、こうしようああしようと思っても、どうせその果実を味わうことなどできないと思うと、まあ良いか、なるようになるさと思ってしまいます。これを老人病とでも言うのでしょうか。老人が多くなると世の中の進歩が停滞するのも分かる気がいたします。ところで日本は老人大国ですね。それも世界に冠たる老人大国です。世界の各国に比べて日本の潜在成長率が低いのも、そんなところから来ているのかも知れません。


 私の友人関係も同世代ですので皆老人です。会社員で毎日東京に通って40年、肉体的精神的に疲れ果てて、もう十分働いた、あとの余生はゴルフ、釣り、諸々の小さな趣味で十分という人が大半です。しかし中には90歳にもなるのに社長として第一線で働いている、という人もいます。ドラッガーは『知識労働者は何歳になっても終わることがない。会社員も文句は言っても、いつまでも働きたい。』と述べています(“明日を支配するもの”より)。ましてや経営者となれば、知識労働者の最たるものでしょう(中には現場の第一線に立って働いている方もおられますが・・・)。いつまでも社長として先頭に立っていたい、これが本音だと思います。


 世の中の人は“歳だから引退しろ”などと言います。これは本人にとって大変失礼な話です。社長ともなれば、自分の進退は自分で決める、と思っているはずだからです。バイデン大統領だって大統領選挙への出馬宣言したではないですか。(決めるのはアメリカ国民でが・・・)


 今、事業承継税制などと言う“アメ”をぶら下げて、事業の承継について、つまり次の世代に事業をどう引き継いでゆくか、これを考えなさい、考えておきなさいと政府は躍起になっていますが、“余計なお世話だ”、これが多くの社長の本音でしょう。少なくとも自分はそう思っています。

 

 しかし、会計事務所として情報を提供しないのは如何なものか。この税制を使う使わない、やるやらない、は社長の判断なのだから、せめて“アメ”の部分は当然ながら、デメリットも含めて、情報提供だけはしておくべきではないのか、悩みつつ、そう思っているところです。