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税務情報

特例・事業承継税制

あなたは事業の将来をどう考えておられますか。

 

A.まだまだ自分が社長で頑張る。先のことは今は考えられない。

B.そろそろ将来のことも考えてみなければと思う。

C.近い将来、息子か従業員に譲ろうと思う。後を継ぐ者がいない場合は売却しちゃっても良いと思っている。 

 

 

 

 事業承継税制というのは、自社株を次の世代に譲ろうという場合に、その方法としては

 

①贈与する、②相続まで待って次の世代に移してゆく、③売却する

 

などが考えられますが、売却は良いとして、①・②のケースでは通常、税金が発生します。これら税金は累進税率ですので、株の評価が高ければ高いほど税金も多額になりますが、これら税金をタダにしてあげましょう、というものです。

 

 でもそれには条件があります。

 

1.事業承継の計画(特例承継計画)を立てるということです。誰に譲りたいのか、事業はどうしたいのかという計画です。この計画を令和6年3月末日までに、県知事に提出して承認を受けておくことが必要です。

(この計画作りには認定支援機関の支援が必要で、当事務所が認定支援機関として作成のお手伝いをいたします。)

 

 

2.その上で、贈与する場合は令和9年12月31日までに実行しますが、実行しなくても何のお咎めもありません。

 

3. 贈与ではなく、相続でこの特例を使おうという場合には、当然いつまでに相続しなければならないなどということはありません。この制度を使えば株に関しては相続税がタダになりますが、この制度を使わなくても何のお咎めもありません。

(BやCの方はとりあえず計画を出しておく、のも手かと思われます。)

 

 

4.贈与や相続でこの制度を使うときは通常の申告書に添えて、先に承認された計画書及び認定書の写しを添付して税務署に提出し、知事にも認定の申請をします。

 

5.申告書の提出期限から5年間は毎年、知事には年次報告書、税務署には継続届出書を提出します。これは譲り受けた事業が適正に運営されているかどうかを報告するもので、特にこの間は譲り受けた株を売却・贈与することはできません。

 

 

6.5年を過ぎた後は3年毎に継続届出書を税務署に提出することになります。先代経営者が死亡した場合、贈与は相続特例に切替え、引続き納税猶予となるのですが、譲り受けた者が死亡すれば納税は免除になり事業承継税制は完結します。

(ということは相当長期に亘り、譲り受けた方、及びこれを受託した会計事務所もこれに係り続けることになります。)

 

 

 こんな面倒な制度をいかに有利だからといっても、一体、誰が使うの?

 

 それはそれは貴方様次第です。当方としては依頼された以上は、粛々と対応する所存です。何といっても節税効果が大きいからです。このことをお知らせしないのは税理士の怠慢であると考えています。一方、税理士であれば誰でも対応できるかといえばそうではありません。30年先と言えば税理士の方が先に逝ってしまうでしょう。では複数の税理士で運営している税理士法人はどうか、これも弱小税理士法人では受けられないでしょう。法人の運営がいつ瓦解してしまうかも分からないからです。

 

 節税効果が大きいかどうか?

 

 これは貴方様の会社の株価が如何程かによります。そこで簡単な株価の算定をしてみましょう。

 

 直近の決算書の貸借対照表を出してみて下さい。そこに資産として書かれている土地や家屋があれば、帳簿価額を固定資産税の評価額に置き換えて下さい。そうして導き出された純資産額が貴方の会社の価値(評価額)です。

(これを純資産価額方式による評価額と言いますが、実際の計算は複雑なのでここでは省略します。)

 

 この評価額に会社における貴方の持ち分割合を掛けたものが、貴方の株の評価額です。

 

【貴方様の持っている自社株の評価額=評価額×株の持分割合】

 

 さて、この評価額に贈与税率を掛けたものが概算の贈与税額です。ご自分で計算してみては如何でしょうか?