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所長のコラム -Vol.10-

新しい資本主義とは?

 

 岸田首相が打出した、“新しい資本主義”とは一体どんなものなのでしょう。資本主義などという難しい 言葉を使われると、余程深遠な理論があるのかと思ってしまうのですが、自分が調べた限りでは、どうもそれ程のものでもなさそうです。民営化、アベノミクス等と同じように、その政権の政策、一種のスローガンにすぎないものと思われます。

 

 ところで資本主義とは何なのでしょう。経済評論家、竹内靖雄氏の本から引用します。『資本主義とは市場で行われる金儲けのことで、それは古代にも中世にもあったし、洋の東西を問わず、文明社会のいたるところにあったものである。貨幣と市場が現れた時から人は商業、貿易、金貸しなどの方法で、金儲け、つまり資本主義をやりはじめたのであり、産業革命以後は、工場で大量生産したものを世界中の市場で売るという形が主流になっただけのことである。』

 

 つまり資本主義とは金儲けのことで、岸田首相は「アベノミクスでは不十分だ、政策転換が必要だ」と強調していますが、要は「成長戦略によって生産性を向上させ(要するに儲けて)、その果実を働く人に賃金の形で分配する」・・・あれ、安倍首相は「企業が儲かれば、その果実は国民に自然としたたり落ちる(トリクルダウン)」と言っていましたが、何が違うのでしょう。自然と国民が豊かになる、と意識的に分配する、の違いでしょうか。

  

 どのように分配するか、どこまで分配するかは政府の役割だと思いますが、問題はどうやって儲けるかですね。安倍首相の時代、日本は売るものがないから(?)でしょうか、豊かな自然と伝統と文化を売りにするのだ(インバウンド)、農産物を輸出するのだ、挙句の果てにカジノだ・・・これって後進国の発想ですよね。結果、多くの外国人がやってくるようになりましたが、一部では買春ツアーということらしいですね。嗚呼!

 

 儲けること、そのためには企業人が資本主義に目覚めることだと思います。個々の企業が大いに儲けることによってしか日本の国に未来はありません。儲けることによって社会は進歩し豊かになります。儲からないようでは資本主義の敗者であり、市場で淘汰される運命に直面します。【個々の企業は市場を戦場にして戦っている。その目的は領土、つまりシェアを拡大することである】、このことが久しく忘れ去られているのではないか、と危惧するものです。“新しい資本主義”とは、政府も応援するから(成長戦略)、政府と一体となって、資本主義の原点に目覚め、国民が豊かな国になろう、ということではないかと思うのです。